そして父になる：映画　雑感メモ、などなど：SSブログ

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そして父になる　[映画　さ行] [編集]

そして父になる　を観ました。

公式HP　http://soshitechichininaru.gaga.ne.jp/　

2013/9/28（土）公開

　「歩いても　歩いても」「空気人形」の是枝裕和監督が、「容疑者Ｘの献身」の福山雅治を主演に迎えて贈る感動の家族ドラマ。ある日突然、６年間育てた息子が病院で取り違えられた他人の子どもだったと知らされた対照的な２組の夫婦が、過酷な決断を迫られ、それぞれに葛藤を繰り返す中で本当に大切なものを学んでいく姿を丁寧な筆致で描き出す。共演は尾野真千子、真木よう子、リリー・フランキー。カンヌ国際映画祭でみごと審査委員賞を受賞、大きな話題となる。
　これまで順調に勝ち組人生を歩んできた大手建設会社のエリート社員、野々宮良多。妻みどりと６歳になる息子・慶多との３人で何不自由ない生活を送っていた。しかしこの頃、慶多の優しい性格に漠然とした違和感を覚え、不満を感じ始める。そんなある日、病院から連絡があり、その慶多が赤ん坊の時に取り違えられた他人の子だと告げられる。相手は群馬で小さな電器店を営む貧乏でさつな夫婦、斎木雄大とゆかりの息子、琉晴。両夫婦は戸惑いつつも顔を合わせ、今後について話し合うことに。病院側の説明では、過去の取り違え事件では必ず血のつながりを優先していたという。みどりや斎木夫婦はためらいを見せるも、早ければ早いほうがいいという良多の意見により、両家族はお互いの息子を交換する方向で動き出すのだが…。

≪ all cinema online より ≫

【鑑賞日：2013年9月28日（土）】

以下、大ネタばれです。　未見の方は見てからお読みください。

小学校お受験の親子面接。この学校は父・良多の母校でもある。お子さんの長所は？　短所は？　と聞かれ、よくあるパターンの「私に似て・・・・」、「私に似ず・・・・」という表現をして父・福山雅治が答えるけれど、コレがもう伏線になっている。
おっとり優しい性格で負けて悔しい…ということがない息子を自分とは似てないなぁ．．．妻に似たのかなぁ．．．と感じ始めていたところに、6年前妻が里帰りして息子を産んだ病院から電話が掛かってくる．．．．

病院関係者が、こういう場合100%血の繋がりを取る。早い方が良い．．．というが、単にその人物のセリフとして書かれた裏付けのないものなのか、それとも本当の実績値なのかが気になった．．．．
だって99.9%じゃなくて100％ですよ

今まで育てて来て注いだ愛情や関係を壊せない．．．．と思う親って1人も居ないのか

それこそ（セリフの中にもあったが）「犬や猫の子じゃあるまいし．．．」じゃなかろうか．．．．と。

当然映画の中でも二組の夫と妻はそれぞれに悩むが、主人公・野々宮良多（福山）は父親（夏八木勲　今回も渋い名演！）のコトバの影響も大きく、これからますます実の親に似てくるであろう息子たちを考え、「血」を選ぶ決断をする．．．．．（男親として息子に抱く「想い」は理解できる．．．．ウチは娘なのでその想いを抱いたことはないが．．．．）
ここで、妻や相手夫婦との意見対立や調整がろくに描かれないことに疑問と違和感。　　コイツが決めればみんなが従うなんてことはないはずだが．．．．　　もっとも、コイツはヒトの意見を容れるタイプじゃないから押し切ったのだろうか．．．．　　尾野真千子が6年間育てた慶多と2人で乗った電車の中で「このまま二人でどこかへ行っちゃおうか．．．．」というところは、別れがたい母心を表して切ないが、主旨としては夫の意向に反してこの子を選びたいという強い意味のものではなかったし．．．．．

実の子との暮らしが始まり、「これからはパパとママと呼びなさい。」「なんで？パパ・ママと、ちゃうやん！」「なんででも」「なんで？」「なんででも！」「なんで！？」「なんでだろ...」という良多と琉晴のやり取りがほのかに可笑しく哀しい。
ようやくお父さんと呼ぶようになった喜びもつかの間、それは単に表面上のものに過ぎず、本心は「帰りたい」が変わっていなかったことの衝撃。

映画は、慶多と良多の対話のあととみんなのところに戻ったところで終わり、その後を描かないが、誰が見ても結末は明らかだし、タイトルも初めからこの結末を示していた。

この映画に違和感を感じる気がするのは、この映画ではなく「現実」への違和感なのだろうと思う。
違和感を感じつつも「どうしようもない現実」。ここで言う現実は、映画の中でもあるし、観ている我々のいるこの世界も含めた「現実」

同じ境遇になったら、選択肢はこれしかないと思う。
なんでこんな目に遭うんだとの想いのぶつけ場所はどこにもないし、もう１人の子との間の葛藤の解決の仕様もない。
ことが間違いではなく、看護師の意図的なすり替えによる事件であったというのは、なぜそんな残酷なことができるのかと深い憤りを感じるし、「今は落ち着いて幸せです。」「いまは反省しています。」と言われても許すことはできないだろう。
もっとも、怒ったからといって結果を元に戻せるわけではなく、「時効なのでもう刑事責任は問えない」し、刑事責任・民事責任（民事責任は確実に問えるけど...）を問うたところで戻せないことには変わりないので、起きてしまっている現実には「諦めて」「受け容れる」他の選択肢は無い．．．．．映画の中でも、仮に現実に起こったとしてもこの点は同じ．．．．．
（病院は、使用者責任を問われ、一旦、損害賠償をしたうえで、それをこの元・看護師に求償するんでしょうね．．．．。この元・看護師のいまの幸せは続かない．．．．　例え、母を守ろうとしてくれる息子が居ようとも．．．．）

納得できないのに納得するしかないことは分かっている（納得している）という、このワケのワカラナイ状態．．．．もの凄い違和感である。

映画の中でも、現実で起こったことだとしても、絶対に解決が付かない問題を突きつけられている居心地の悪さ・・・・コレが私の感じた違和感。

どうしようもない。　　　　