抹殺者 [映画 ま行]
数年前(10年弱?)、TVの深夜の映画で偶然観て、面白いなぁ...と深く印象に残っていました。
この映画の邦題は最低の変更の見本です。
元のタイトルはThe Body。 単に遺体・遺骸 の意味です。
主演はアントニオ・バンデラスですが、原作でのこの人物の設定はアイルランド系の牧師。
何故にラテン系むんむんのアントニオ・バンデラスをキャスティングしたのかわかりませんが、これで少ぉ~しトーンが変わってしまったと思います。 …で、アントニオ・バンデラスからの発想でタイトル:抹殺者(牧師なのに....)。 いったい何を抹殺するというのでしょう。 ヒドイもんです。。。。
先日、このブログで、『ゴースト・ライター』への期待表明<ココをクリック→▼> を書いた時に amazon でDVDが出ているのを見つけて買っちゃいました。
物語りの発端は・・・・
共演のオリヴィア・ウィリアムスは、雰囲気が好きなんです。
『シックス・センス』でブルース・ウィリスの奥さんを演じていました。『ピーター・パン』(2003年公開の実写版)ではウェンディのお母さんを演じていました。どちらももの静かな女性の役柄でしたが、この映画ではタバコ咥えてジープ運転して…とちょっとイメージが違う感じ。深夜TVで見た時は「あ! シックス・センスのあのヒトだ。演技の幅が広いんだなぁ...」と思った覚えがあります。
(最近の映画だと、『ハンナ』<ココをクリック→▼>に出演しているオリヴィア・ウィリアムスのキャラがイメージ近いかも.... 『ゴースト・ライター』<ココをクリック→▼>とは、また、ちょっと違います。『17歳の肖像』は観ていないのでわからない.... )
【以下、ネタばれを含みます。】
・・・・発端を見ても、「確かにキリストの遺体が見つかったら大発見だろうけれど、だから、それがどうしたの? 」という反応、日本人には多いと思います(無宗教が多いから)。 私も最初はそう思って観ていたんです。でも、クリスチャンにとってはキリストの遺体が発見されることはあり得ない。そもそも墓もないんです。バチカンのサン・ピエトロ寺院は聖ペトロの墓の上に建った教会です。これはラングドン教授シリーズの『天使と悪魔』を観たり、原作読んだりした人ならみなご存知。でも、聖ペテロは聖人。キリストは神の子。 レベルが違う。キリストは、復活して昇天したのだから遺体が残っているはずがないんです。
絵画や彫刻にキリストの遺体は多数表現されています。アレはみな「復活するまでの間の仮の姿を写しとったモノ」です。「最終的な遺体」はあってはならないモノ、そんなモノがあるかも…と話題にすること自体が信仰上の冒涜なのです。(私はクリスチャンじゃありません。念のため。)
「かも知れない遺体」を発見した女性考古学者(オリヴィア・ウィリアムス)はイスラエル人設定=ユダヤ教徒なので、キリストは信じていない。だから、考古学的見地から「大発見かも!!」となって、そんなバカな...とはならない。
情報が伝わったバチカンでは「そんなバカな。あり得ない! たわごとだ!! 」と言いつつも、キリスト教に対する脅威には間違いないし、この情報は不用意に扱うと万一の影響も大きいので元・諜報部員という異色の経歴を持つ神父(アントニオ・バンデラス)を送り込みます。
ココはキリスト教とユダヤ教とイスラム教が危ういバランスでひしめき合うエルサレム。イスラエルとパレスチナの永きに渡る争いへの重大な影響も…。
どういうわけか情報を掴んだパレスチナ人活動家↓はバチカンとイスラエルが結び付くことを阻止するために妨害工作を始め・・・・・と、日本人にはピンと来にくいところを突いている映画なのでマイナーだったんだろうと思いますが、その辺を意識して観ると、かなり面白いです。
死者の眠りを妨げること自体が許されないと戒律の厳しい宗派のユダヤ教徒↓も妨害します。
主人公は大いに悩み床に伏せてジッと神に祈り…
洋画にはときどきこのように、宗教や文化の背景や常識や身に付いたモノを要求する映画があります。
十字軍が出てくる映画なんかも、実は日本人にはアチラの人々ほどは本当のところ(監督や脚本の意図・描きたかったもの等)が掴めていないであろうモノの例に挙げることができるんじゃないかと思います。
(『キングダム・オブ・ヘブン』なんか、いい例です。)
レンタルで見掛けたらお試しください。
このジャケットはヒドイです。銃を持ってバンデラスがキメてるけれど、こんなシーンありません。
右上ではヘリコプターが数え切れないほどウヨウヨ飛んでいて寺院を背景にエルサレムの街が大爆発していますが、そんなシーンもありません。
↓は原作小説。 2人の関係は映画ではプラトニックだし好意の抱き具合もあまり具体的ではないですが、この小説はその辺がだいぶ違います(amazonのレヴューではその辺でケチョンケチョンの評価です)。また、映画同様に宗教・文化的な背景が要求されるので、翻訳文が書き難いのかもなぁ…とも思います。結末も少し違っていて、ちょっとロマンチック度合いが強いかも....。 私はこの小説、好きです。(…なのでBOOKOFF行きにならずに今も持ってる。)
この映画の邦題は最低の変更の見本です。
元のタイトルはThe Body。 単に遺体・遺骸 の意味です。
主演はアントニオ・バンデラスですが、原作でのこの人物の設定はアイルランド系の牧師。
何故にラテン系むんむんのアントニオ・バンデラスをキャスティングしたのかわかりませんが、これで少ぉ~しトーンが変わってしまったと思います。 …で、アントニオ・バンデラスからの発想でタイトル:抹殺者(牧師なのに....)。 いったい何を抹殺するというのでしょう。 ヒドイもんです。。。。
先日、このブログで、『ゴースト・ライター』への期待表明<ココをクリック→▼> を書いた時に amazon でDVDが出ているのを見つけて買っちゃいました。
物語りの発端は・・・・
エルサレムで地下室を作ろうとしたら偶然見つかった遺跡。工事で破壊される前に調査したイスラエル人の女性考古学者(オリヴィア・ウィリアムス)が見つけたモノは皇帝ピラトのレリーフのある約2,000年前のコインと成人男性の遺骨..... しかもその遺骨には磔刑の跡が..... 磔刑は貧者が多く、キチンと葬られる例は稀有で、きちんと墓があるような金持ちの墓所に葬られた記録は、史上ひとつだけ.......
共演のオリヴィア・ウィリアムスは、雰囲気が好きなんです。
『シックス・センス』でブルース・ウィリスの奥さんを演じていました。『ピーター・パン』(2003年公開の実写版)ではウェンディのお母さんを演じていました。どちらももの静かな女性の役柄でしたが、この映画ではタバコ咥えてジープ運転して…とちょっとイメージが違う感じ。深夜TVで見た時は「あ! シックス・センスのあのヒトだ。演技の幅が広いんだなぁ...」と思った覚えがあります。
(最近の映画だと、『ハンナ』<ココをクリック→▼>に出演しているオリヴィア・ウィリアムスのキャラがイメージ近いかも.... 『ゴースト・ライター』<ココをクリック→▼>とは、また、ちょっと違います。『17歳の肖像』は観ていないのでわからない.... )
【以下、ネタばれを含みます。】
・・・・発端を見ても、「確かにキリストの遺体が見つかったら大発見だろうけれど、だから、それがどうしたの? 」という反応、日本人には多いと思います(無宗教が多いから)。 私も最初はそう思って観ていたんです。でも、クリスチャンにとってはキリストの遺体が発見されることはあり得ない。そもそも墓もないんです。バチカンのサン・ピエトロ寺院は聖ペトロの墓の上に建った教会です。これはラングドン教授シリーズの『天使と悪魔』を観たり、原作読んだりした人ならみなご存知。でも、聖ペテロは聖人。キリストは神の子。 レベルが違う。キリストは、復活して昇天したのだから遺体が残っているはずがないんです。
絵画や彫刻にキリストの遺体は多数表現されています。アレはみな「復活するまでの間の仮の姿を写しとったモノ」です。「最終的な遺体」はあってはならないモノ、そんなモノがあるかも…と話題にすること自体が信仰上の冒涜なのです。(私はクリスチャンじゃありません。念のため。)
「かも知れない遺体」を発見した女性考古学者(オリヴィア・ウィリアムス)はイスラエル人設定=ユダヤ教徒なので、キリストは信じていない。だから、考古学的見地から「大発見かも!!」となって、そんなバカな...とはならない。
情報が伝わったバチカンでは「そんなバカな。あり得ない! たわごとだ!! 」と言いつつも、キリスト教に対する脅威には間違いないし、この情報は不用意に扱うと万一の影響も大きいので元・諜報部員という異色の経歴を持つ神父(アントニオ・バンデラス)を送り込みます。
ココはキリスト教とユダヤ教とイスラム教が危ういバランスでひしめき合うエルサレム。イスラエルとパレスチナの永きに渡る争いへの重大な影響も…。
どういうわけか情報を掴んだパレスチナ人活動家↓はバチカンとイスラエルが結び付くことを阻止するために妨害工作を始め・・・・・と、日本人にはピンと来にくいところを突いている映画なのでマイナーだったんだろうと思いますが、その辺を意識して観ると、かなり面白いです。
死者の眠りを妨げること自体が許されないと戒律の厳しい宗派のユダヤ教徒↓も妨害します。
主人公は大いに悩み床に伏せてジッと神に祈り…
洋画にはときどきこのように、宗教や文化の背景や常識や身に付いたモノを要求する映画があります。
十字軍が出てくる映画なんかも、実は日本人にはアチラの人々ほどは本当のところ(監督や脚本の意図・描きたかったもの等)が掴めていないであろうモノの例に挙げることができるんじゃないかと思います。
(『キングダム・オブ・ヘブン』なんか、いい例です。)
レンタルで見掛けたらお試しください。
このジャケットはヒドイです。銃を持ってバンデラスがキメてるけれど、こんなシーンありません。
右上ではヘリコプターが数え切れないほどウヨウヨ飛んでいて寺院を背景にエルサレムの街が大爆発していますが、そんなシーンもありません。
↓は原作小説。 2人の関係は映画ではプラトニックだし好意の抱き具合もあまり具体的ではないですが、この小説はその辺がだいぶ違います(amazonのレヴューではその辺でケチョンケチョンの評価です)。また、映画同様に宗教・文化的な背景が要求されるので、翻訳文が書き難いのかもなぁ…とも思います。結末も少し違っていて、ちょっとロマンチック度合いが強いかも....。 私はこの小説、好きです。(…なのでBOOKOFF行きにならずに今も持ってる。)
> タッチおじさん さん
こんばんは。nice! をありがとうございます。
by 怪しい探麺隊 (2011-09-06 23:03)