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アメリカン・スナイパー [映画 あ行]

◆ アメリカン・スナイパー を観ました。(約2週間遅れで書いています。)
2015/2/21(土)公開
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 米海軍のエリート部隊“ネイビー・シールズ”の兵士としてイラク戦線で活躍した伝説の狙撃手クリス・カイルの回顧録『ネイビー・シールズ 最強の狙撃手』を、巨匠クリント・イーストウッド監督で映画化した戦争アクション。2003年のイラク戦争開始以後、4度にわたって戦場に赴き、仲間の命を守るために実に160人以上の敵を射殺した英雄の知られざる葛藤と苦悩の軌跡を、家族を愛しながらも戦場から離れがたくなっていく主人公の強い使命感と、それゆえに抱え込んでいく深い心の傷に焦点を当て、緊迫感あふれる筆致で描き出していく。主演は「世界にひとつのプレイブック」「アメリカン・ハッスル」のブラッドリー・クーパー、共演にシエナ・ミラー。
 2001年のアメリカ同時多発テロをテレビで目の当たりにした青年クリス・カイルは、祖国の人々を守るために貢献したいとの思いを強くし、ネイビー・シールズで狙撃手としての過酷な訓練に励んでいく。やがてイラクに出征したクリスは、その驚異的な狙撃の精度で味方の窮地を幾度も救っていく。仲間たちから“レジェンド”と賞賛される活躍をし、無事に帰国したクリス。これでようやく、愛する妻タヤと生まれたばかりの長男と共に平穏な日常を送れるかに思われたが…。
≪ all cinema online より ≫


重い映画だろうとは思っていたけれど、やっぱり重かった。
クリント・イーストウッド監督の映画は、音楽が印象的なことが多く、特にピアノの使い方がカッコイイ映画が多い印象なので、今回も勝手にそういうイメージで行ったら、全然そういう感じではなく、むしろ、音楽なんかほとんど印象に残らない重さと緊張感。
社会派の映画で、抒情性とかセンチメンタリズムとかそういうものから離れたところで厳しい現実を突き放したように描く意図なんだと思う。
エンドクレジットの間は一切の音楽が無いまま数分にわたり字幕だけがスクロールしていく....

【鑑賞日:2015年2月21日(土)】


今回は、かなりネタばれです。 (未見の方は観てからどうぞ....)



実在の米海軍シールズの狙撃兵クリス・カイルの物語。
銃社会で、男は物理的に戦って家族等大切なモノを守る文化のアメリカの現実と、帰国しても戦場でのギリギリの精神状態から抜けられないPTSD状態(妻に身体だけでなく心も帰って来て欲しいと言われる)を描いて、重い。(暗くはない。重い。観応えがある。)
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予告編で紹介されている「女と子供が出てきて、女が子供に爆弾のようなものを手渡して、クリスが撃つべきか躊躇うシーン」は、初めての狙撃のエピソードだった。
女が、恐らくは我が子に(だって素直に言うこと聞いてたのは母さんの言い付けだからだと思う)対戦車地雷を抱えて自爆することを指示するって、どんな狂った社会なんだろう.....
クリスがやむを得ず子供を狙撃したら、今度は母親が爆弾を拾いに走って行き、あくまで米軍に自爆攻撃を仕掛けようとする....(当然、クリスに狙撃される。)
宗教で操られ、聖戦だからと自爆攻撃をする宗教も、その宗教指導者も狂っている、と思う。
その宗教の本当の教義はそんなものではないはずだ(よくは知らないが。) 
聖戦なんて考え方自体、宗教指導者による「勢力拡大のための都合のよい解釈」に振り回されているに過ぎない・・・と信じたい。(まぁ、ジョージ・ブッシュだって「都合のいい解釈」やら「(意図的かも知れない)事実誤認」に溢れていたような気がしなくもないけれど。)

映画は冒頭の狙撃シーンから、こどもの頃の初めての鹿狩りの回想シーンに跳ぶ。
父は「男には三種類ある。守られる存在の羊、襲う側の狼、羊を護るシープドック(牧羊犬、番犬)。シープドックになれ。」と言ってクリスを育てる。クリスは弟を護ることも含めて、自らの存在意義をシープドッグ(護る者)たることに据えて、人格形成していく。

途中、冒頭の初狙撃と同様に、子供を撃つかどうかギリギリのシーンがある。 ロケットランチャーを抱えた男を狙撃して倒したら、そばにいた子供が重くて構えることすら覚束ないのにそのロケットランチャーを拾って躊躇するシーン。その子が構えて米軍兵士の方に向けるようならまた撃たざるを得ず、クリスは放してくれ・・・と祈る。緊迫のシーンだ。

クリスはPTSDを抱えながら4回の派遣を経験する。途中の帰国では、敵側の凄腕スナイパー(元オリンピックの射撃の選手)を倒せていないため、護る者としてやり残したことがあるゆえの精神の平穏を欠いた状態だったことも要因だったのだろう。
最後にそのライバルを倒してようやく、務めを果たした安堵感からクリスのPTSDも快方に向かった気がする。
そして自らが父から教わったように、息子を連れて鹿狩りに行き、射撃を教えるクリス。

終わりの辺りのシーンで、軍に志願する前はカウボーイであったクリスはリボルバーを持っていて、妻にサプライズを仕掛ける時にその銃を小道具に使う(幼い子供たちの前でヒト(それも妻)に銃を向けている姿を、こどもに見せる。え?配慮が無いなーと思った。)。銃そのものは子供の届かない鴨居にスッと仕舞ったけれど、銃がこんなに違和感なく普通の生活の中にある、というあたりが日本と絶対的に違う...と感じた。

そして、ようやく自らのPTSDを克服し、他の帰還兵のPTSD克服と社会復帰サポートに尽くしていたクリスを悲劇が襲う。明らかにイヤな予感の漂う中、絶望的なコメントの字幕が.....
一緒に射撃に行くというシチュエーションも、日常的に銃を手にする環境も無ければ起こらなかった悲劇のような気がするけれど、そうはできないところも含めてアメリカなんだろうな....とも思う(是認する気はコレっぽっちもないけれど)。

ブラッドリー・クーパーの役作りも凄い。体重増加14キロというのも凄い。








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コメント 2

きさ

ずっしりと重い映画でした。
イラク戦争でのカイルの戦いを描くイーストウッド監督の演出はさすがですが、結構キツイ描写も多いです。
緊張感が途切れないので見せますが、かなり精神的にこたえます。
シエナ・ミラー演じる奥さんの描写もいいですね。
良い映画でしたが、個人的にはイーストウッド作品としては「ジャージー・ボーイズ」の方が好きですね。
by きさ (2015-03-08 09:20) 

怪しい探麺隊

>きさ さん
こんにちは。nice! とコメントをありがとうございました。
クリント・イーストウッド、あの年齢でこのペースでこの質の作品を作り出せるなんて、超人ですよね。
by 怪しい探麺隊 (2015-03-08 12:03) 

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