SSブログ

瞳の奥の秘密 [映画 は行]

瞳の奥の秘密」を観てきました。
アカデミー賞、最優秀外国語映画賞受賞のスペイン・アルゼンチン合作映画です。

hitomi_a.jpg25年前の刑事事件の謎解き部分は面白いです。
1974年当時のアルゼンチンの政情はムチャクチャだったようで、その辺がピンと来ていないと(普通の法治国家のつもりで観ていると)頭の中が「???」になります。
裁判所書記官である主人公のベンハミンが刑事事件の担当として警察のような捜査活動をするあたりも、ちょっと状況(立場)がすぐに掴めずに混乱するところ。

完全なる報復(Law Abiding Citizen:原題)に出てくる司法取引の結果のような(行政何とかによる釈放とか言っていた。アメリカの司法取引より遥かに恣意的・いい加減・無茶苦茶な印象)元同僚書記官の私怨による嫌がらせ的釈放も、そんなことが実際にあり得たようです。

相棒のパブロが実にいい味を出している。このキャラ、好きです。
職場=裁判所に掛ってきた電話にはすべて「あり得ない電話先」を名乗って出て、
 「間違い電話だよ」と言って切っちゃいます。
 (私も学生のころ、この遊び、実際やっていました。
  どうせ友達しか掛けてこないんで、
   「はい! アメリカ中央情報局・東京支部・職員食堂調理場です!!」とか
   「はい!! 知床警察・ヒグマ対策課です!!」とか、ワケワカンナイこと言って、
   相手がビックリするのを楽しむという、悪趣味な遊び・・・・。)
・大酒呑みで、酒場でケンカばかりして、カミサンに完全に愛想を尽かされている。
・それでいて、ときどき実に鋭いことを思い付き、深遠な真理を語り、
 強姦殺人犯人イシドロ・ゴメスの逮捕の糸口も掴みます。

【鑑賞日:2010年8月24日】

瞳の奥の秘密 [DVD]

瞳の奥の秘密 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • メディア: DVD



…で、25年振りの主人公の秘めたる愛、ですが・・・・

【以下、ネタばれです。】

まず、バレバレで、さっぱり秘めていない。(本人が口にしないから、その意味では「秘めてる」けど。)
南米の男はラテン系なんじゃないの? なんであんなにウジウジと。。。。

hitomi_b.jpg新妻を殺された銀行員も、主人公・ベンハミンも25年=四半世紀も一途な愛を…というところだけとると、確かに情熱的だけれど、ベンハミンの方はちょっといただけない感じ(違和感)が私には強い。

多くの観たヒトの感想とは違ってしまいそうですが、
印象に残ったのは、イレーネからベンハミンへの「意気地なし!」というヒトコト。
「お前、いくら、彼女が高学歴で上司で(きっといいところのお嬢さまだろうし)身分違いだろうと、
女にあそこまで言わせるのかと。
独りで列車に乗って行ってしまって(身が危険だから逃げて)25年も放っておくか?!と。
それでも、男か? ラテン系か?! 後先考えずに強引に一緒に逃げてこそラテン系だろう!!と。

だいたい、彼女だって危ないのは同様だろう、と。
政情があんなに不安定で無茶がまかり通るのに、いいところの娘だろうと高学歴のキャリアだろうと、「彼女はブエノスアイレスに残ってても大丈夫」なんて、なに、希望的観測してるの? という気がとっても強くしてしまって、主人公に感情移入できませんでした。

それと共に、
「なんで今さら、にこやかに『小説書いたんだ』なんて見せに来てるわけ?!」
「『もう、これ以上、無理!!自分を抑えられない。』というんで来たんなら、
あと23年くらい早く来なさいよ!!」
とも思ったわけです。


「衝撃的秘密が明らかになるラスト」、「言葉も出ない。」って感じの煽り文句も、
ちょっとどうなんでしょうかね。。。
なんとなく、これも読めてしまったけれど。

すごく面白かったんですよ。 賞も、人気もよく分かります。
(実は14日(土)に観ようとしたら、想定外の売れ行きで何時間も前に売り切れて、
インターネット予約すらできず、ようやく、今日の晩になったくらいの人気でした。)

ただ、ベンハミンとイレーネの「大人の恋」って部分は
まだるっこし過ぎて、むしろ「オクテのイジイジ男子中学生みたい」な気がしました。
(オクテの中学生なんてもはや絶滅危惧種かも。完全に死滅したかも。)

それに、イレーネだって・・・・

もう止めます。。。。


最後に、イシドロ・ゴメスがベンハミンに向かって「彼に伝えてくれないか。『話しかけてくれ』と。」と頼みます。
ああいう人間が、ああいう仕打ちをしている相手とであっても話をしないと堪らないほど、疎外感を抱き、孤独に耐えかねておかしくなりそうな精神状態で約25年過ごしているということですから、リカルド・モラレスとしては正に狙い通り!!の状況
(ホントにおかしくなっちゃったら、逆に逃避できてシアワセなわけなので、この「おかしくなる寸前キープ」で永く苦しませることこそが狙いですもんネ)
恐ろしいほど凄い執着力と集中力と意志の持続力!!!
あぁ・・・・。ただ感嘆するしかないです。
この点を言ってるんだったら、確かにコトバも出ない・・・だなぁ。  前言撤回ですネ。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。