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幻影師アイゼンハイム [映画 か行]

幻影師 アイゼンハイム」も好きな映画です。
theillusionist_a.jpgある日どこかで」に続き、コレも純愛モノですが、そう言うのばっかり好き、というわけではないです。
(これには、クライム・サスペンス要素もありますし。。。。)

エドワード・ノートン
ジェシカ・ビール
ポール・ジアマッティ
ルーファス・シーウェル

の4人が4人とも巧い。

もちろん、一番はエドワード・ノートンだけれど、
ポール・ジアマッティの、皇太子の引き立てもあって警察内で地位を築き、立場的には権力サイドで
動かざるを得ないが、自身は肉屋の息子と言う平民出身のため平民のアイゼンハイムに同情的な
部分もあって…という複雑な役どころを(例のギョロ目をぎょろぎょろさせつつ)巧く表現している。

ソフィーとアイゼンハイムの子供時代の若い役者ふたりも巧いし、それがこの切ない恋物語に観客の 感情移入を誘う極めて重要な要素になっている。
theillusionist_b.jpg



幻影師 アイゼンハイム [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 東宝
  • メディア: DVD



幻影師アイゼンハイム〜オリジナル・サウンドトラック

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  • アーティスト: サントラ,フィリップ・グラス
  • 出版社/メーカー: ビデオアーツ・ミュージック
  • 発売日: 2008/04/23
  • メディア: CD



以下、完全にネタばれそのものです。
この話では、身分違いの恋を成就させるため、やがては皇帝=最高権力者になる皇太子の
執拗な追及から生涯逃れ続ける必要があった。
そのためには、死んだことにしてしまうのが一番いい
→ そのためには自殺したことにする、殺されたことにする…等の選択肢があるなか、
   このふたりは、ソフィーが皇太子に殺されたことにする…という「作戦」を選択する。
   皇太子であれば、他の「犯人と誤解された人物」と異なり、怒り狂った皇太子からの
   残虐な追及・刑罰が向くことはないし、すべての証拠が皇太子を
   指している…となると、身に覚えの無い皇太子自身も、さすがにこの件に人々の興味を
   向け続けるのも為政者としてうまい策ではない…と追及を諦めることを期待して
のこと
   ではなかったか…と思う。
   (ついでに言うと、「皇帝退位運動」の動きと関連付けられて、皇帝⇔皇太子の親子間の
    確執から皇太子がピストル自殺することまでは想定外だった、と思う。)

ルーファス・シーウェルは、かたき役=損な役回りの「横暴な皇太子」を実に巧く演じている。
よく考えると、皇太子レオポルドは、
確かに横暴で、過去に女性を死に追いやった?殺した?というスキャンダルはあるものの、
ソフィー関連では、罠に掛けられ殺人犯に仕立て上げられて自殺に追いやられたあまりにも
気の毒なヒト…というのが真実である。
(上記のとおり、ここまで追い込むのは想定外だったと思うが。)
そりゃ、横暴だけれど皇太子=皇帝に次ぐ権力者なんだから、この時代、あんな風で当然だった気がする。
屋敷(狩猟用別宅?)の廊下の壁面が鹿の角だの首だののトロフィーで埋め尽くされていて
ちょっと異様な雰囲気なのも、皇太子の狩猟≒殺傷好きの性格を強調する表現だけれど、
だから、あの立場と最期に追い込まれても仕方ない…という話には全くならない。(趣味の領域内)

ルーファス・シーウェルがこの皇太子の横暴さ、残酷な性格を巧く演じ、
巧みに憎まれ役の憎まれ度を上昇させたから、観客が皇太子に対して「ホントはこのヒトが被害者
なのでは…」という印象を抱きにくく
なっていて、「恋する二人が他人を犠牲にしても身勝手な愛を
貫いた物語」といった印象になる度合いを下げることに貢献極めて大
、である。

ラストでふたりが喜ぶのは分かるけれども、
ちょっと「コレでハッピーエンドか?」という気がして、少し曇った(晴々としない)印象だったのも事実。
(でも、この映画が好きなのは、エドワード・ノートンとジェシカ・ビールの好演の結果と思う。)


-*-*-*-(以下、追記)-*-*-*-
改めて考えても、やっぱり、アイゼンハイムとソフィーの二人は自分たちの愛を貫くために邪魔者(皇太子レオポルド)を力尽くで排除してるよなぁ…、レオポルドって気の毒だよなぁ…という想いが排除できなくて、いろいろ考えていました。
いくら考えても、この点は「事実そうなのだから、どう屁理屈を付けようとも誤魔化しはきかない」という結論。
…となると、監督としては、如何にその印象を薄め、気付かせずにやり過ごすか…に力を注ぐ必要が出てきます。
そのためには、↑にも書いたけれど、レオポルドの印象を悪くする必要がある。…んで、ルーファス・シーウェルの巧演狩猟トロフィーだらけの壁面などの雰囲気作り・演出が奏功する。

もうひとつ活躍するのが、演技巧者・クセ者のギョロ目のポール・ジアマッティ
彼が、ラスト近くでアイゼンハイムに騙されたのに気が付いた時の演技!!
悔しそうな素振りではなく、「やられたぁっ~!!」とむしろ見事に騙された爽快感すら感じさせるような演技。。。。
アレで、観ている者はフッとミスリードされてしまう。。。。
考えるまでもなく、彼は官権で皇太子のサイドの人間。更に、騙された結果として、無実の皇太子・レオポルドをピストル自殺に追い込んだ張本人である。
…なので、あの場面は、常識的には、騙された爽快感を漂わせて「やられたぁ!!」なんてスローモーションで眼を剥いている場面ではなくて、「しまったっ!!無実の皇太子を死に追い込んでしまった!取り返しが付かないことを……。」と悔やんでも悔やみきれず、騙したアイゼンハイムに復讐の炎を燃やしてこそ当然の場面
監督とジアマッティは、意図的に確信犯であの演出・演技をして、観客の印象をミスリードしている。

 ◆ 主役:エドワード・ノートン と ジェシカ・ビール の切ない恋人たちの純愛の演技
       この二人も演技巧者。
 ◆ 敵役:ルーファス・シーウェルの、ひたすら皇太子の印象を悪くする方向の演技巧者ぶり。
 ◆ 助演:ポール・ジアマッティのさりげなく観客をミスリードする演技巧者ぶり。
 ◆ 監督:ニール・バーガーの巧みな演出によるミスリード

これらすべてが相まって、この映画をラブ・ストーリーとして成り立たせている。。。。

……これでも、やっぱり、この映画、ラブ・ストーリーとして好きなんです。不思議ですね

【鑑賞日:2008年6月1日、Wowow録画の再鑑賞:2010年8月21日】
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怪しい探麺隊

cfpさん、nice!をありがとうございます。
アイコンが「ある日どこかで」のサントラの画なんですネ。
私もあの映画が大好きです。
このブログに「好きな映画」として真っ先に書きました。
よろしければ眺めて行ってください。
by 怪しい探麺隊 (2010-09-06 00:22) 

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